子どもは鎌倉の未来そのもの 子どもの笑顔がウェルビーイングな社会を創る
鎌倉市の人口は、2010年の「174,314人」をピークに減少の一途を辿り、2024年12月のデータでは「169,968人」となり、いよいよ17万人を下回りました。これは生活圏における鎌倉市の魅力が低下していることに他なりません。
鎌倉商工会議所の「RESASを用いた鎌倉市の分析」によれば、鎌倉市の人口は、2045年に14万人台まで減少すると予測されています。
また、鎌倉市の高齢化率は、日本全国の高齢化率29.1%を上回る3１％に近い数字となっていて、これは、過疎地や限界集落も含めた数字ですので、本当に危機感を持たなくてはなりませんし、2045年には高齢化率が４０％を超える予測データもあります。
そして、2024年の鎌倉市内の出生数は、800人を下回り、15年前の１２８６人から約５００人の減少が見込まれます。
さらに言うと、厚労省発表による鎌倉市の特殊合計出生率は1.21で日本政府が2015年に掲げた「希望出生率1.8」を大きく下回り、全国1,741の自治体の中でも1,600番以降と下位に位置しています。
これらの数字を見れば分かる通り、今すぐに人口減少、高齢化率、合計特殊出生率の改善に取り組まなければ人口はさらに低下し、鎌倉らしさの数々は維持できなくなります。そして、やがては子どもを産む中心になる年齢層の20歳～39歳の若年女性人口の減少に伴い、消滅可能性自治体になり得る可能性だってあります。
日本全体の人口が減っていくので仕方ないと思われるかもしれませんが、３００近い自治体が人口を増やすことに成功しています。
また、 全国で少子高齢化が進んでいる中、様々な独自の取り組みによって子どもの数が増えている自治体もあります。
まち・ひと・しごと創生法が2014年に施行され、地方創生の取組みが本格的に始まってから10年が経過し、自治体間で大きく差が出ています。
この事実については、これまでまちづくりを担ってきた鎌倉市行政および市議会は猛省すべき点であることを受け入れなければなりません。
鎌倉は、海・山・川・花などの自然、歴史ある神社仏閣、武道、茶道・華道・書道に加え、お祭りやお神輿などの伝統文化、音楽やアートなどの芸術、美味しい飲食店の数々、そして、地元鎌倉を愛する人たちと他の自治体に比べて、多種多様な魅力に満ち溢れています。
こういった鎌倉独自の大切な資源や人材を利活用した鎌倉ならではの子育てや教育方法を実践することで、子育てファミリー層つまり生産年齢人口および年少人口の増加は見込めるはずです。（具体的な取り組みについては、こどもまんなか社会の実現〜子どもと若者を応援する鎌倉へ〜にてお話しします）
そして、何よりも妊娠・出産はとてもおめでたいことで周りの皆さんを笑顔にします。赤ちゃんを授かったとき、生まれてきたとき、そして、子どもたちが楽しそうに笑っているとき、大人たちも笑顔になります。
つまり、子どもたちの笑顔が増えれば増えるほど、地域が明るくなり、ウェルビーイングな社会が自然と創られていくのです。
そんな鎌倉のまちにしていけるのは、私たち市民と関係人口の皆さんの協力あってこそです。
少子高齢化は日本全体が抱える構造的な社会課題です。だからこそ、それぞれの自治体単位での独自の取り組みが必要です。それは子育て世代である私たちの未来への責任でもあります。100年先も多くの子どもたちが楽しそうに笑っている鎌倉を共に創りましょう。
子どもは鎌倉の未来そのものです
鎌倉市内で出産ができる病院がいくつあるかご存知ですか？
答えは、徳洲会湘南鎌倉総合病院と矢内原医院の二つだけです。これは隣接する戸塚区や藤沢市などの他の自治体と比較しても少ない数字ですし、これらの病院は大船駅周辺に集中し、大船から離れた地域にお住まいの方たちには不便を要しています。
鎌倉市が安心して妊娠・出産できるまちになるためには、鎌倉駅周辺や深沢の新市街への新しい施設の誘致、そして、訪問型医療サービスの導入などが必要だと考えます。また、公共交通機関でのアクセスが不便な地域でお住まいの方たちへの交通費の支援や新しいモビリティサービスを導入する必要があります。
もちろん鎌倉市では、すでに多くのサポートを行っていますが、まだできることはたくさんあります。
子どもは鎌倉の未来そのもです。子どもを産み、育てることは鎌倉の未来を育むということです。
安心して妊娠・出産・子育てができる鎌倉市を目指していくためには街全体でのサポートと市民の理解が必要です。
超少子化への警戒ラインとされる合計特殊出生率1.5を大きく下回る鎌倉市において、早急に取り組まなればならない課題の一つです。
鎌倉市内で赤ちゃんを授かりたいと願う全ての人のために
今まで周囲の方たちにもあまり公言してきませんでしが、私たち夫婦は2年以上前に不妊治療を開始し、今も継続しています。2022年4月1日より不妊治療の保険適用が開始され、経済的な負担は軽減されてきましたが、不妊治療の保険適用には年齢制限や回数制限があったり、保険診療で行う治療に自費診療の治療を併用することは「混合診療」として原則禁止されています。2024年4月より鎌倉市は、「不妊・不育症治療費助成制度」として、不妊治療費における先進医療分の助成を開始しましたが、それでもなお回数を重ねていくことによる経済的な負担と妊娠が叶わなかった時の精神的な苦痛は、相当に大きいものとなっています。私は、私たち夫婦も含め、鎌倉市内で赤ちゃんを授かりたいと願う全ての人のために、更なる経済的な支援や精神的なケアを行える優しい鎌倉市を創りたいと考えています。
安心で安全な子育て環境を作るために
「子どもが小学校に通っていた時、どうか無事に帰宅しますようにと毎日のように思ってた」
これは鎌倉在住の大学准教授の言葉です。鎌倉の道は狭く、場所によっては歩行者と車両の距離がとても近いため大人の私でも危険を感じることが多々あります。
こういう環境の中、自分の子どもが卒業しても毎朝のように旗を振り、子どもたちの安全を見守っている方達がいます。本当に頭が下がります。
善良な市民の力を借りることも一つの施策ではありますが、ハード的な通学路の安全確保は喫緊の課題だと考えます。先日、鎌倉市で無電柱化条例が可決されましたが、小町通りは10年以上も前に電線地中化が行われておりますので、特に通学路のについてはより一層のスピード感を持って無電柱化の推進を進める必要があります。
こういった取り組みも「子どものことを最優先に考えて」設計していれば、このような状況は避けられたはずです。
安心で安全な子育てを応援するまちづくりの具体的な提案
安全な環境で安心な子育てを応援するまちであるために、鎌倉市はどうあるべきか？
当然のことながら歳出入や予算ありきとなりますので、すべての施策をすぐに実施することは叶いません。しかし、中長期的な目標を立て、力を合わせて取り組むことでより良い鎌倉の未来が創られていきます。
鎌倉が子どもたちに優しいまちとなり、子育てファミリー層を呼び込む上では、今まで以上に予算を増やし、ベビーシッター券のようなあらゆる補助が当たり前のように利用できる環境を整えるために真剣に取り組むべき事案であることは間違いありません。
1. 医療・健康支援の充実
・産前産後ケアの強化：妊婦健診の無料化や助成拡充、産後ケアセンターの設置
・小児医療の充実：夜間・休日の小児救急医療体制の整備、医療費無償化の継続
・健康相談の提供：母子健康相談窓口やオンライン相談の設置
・不妊治療ケアの強化：不妊治療への経済的な支援や精神的なケア
2. 教育・保育環境の整備
・待機児童ゼロ対策：保育所の増設、保育士の待遇改善
・保育の質の向上：少人数制保育の推進、保育士の研修強化
・託児所の充実と支援：ベビーシッター券の利用促進、利用料金の補助
・学童保育の拡充：長時間預かりの拡充、送迎バスの提供。
3. 防犯・安全対策の強化
・通学路の安全確保：無電柱化の推進、通学路の見守り活動、防犯カメラ設置、街灯の増設
・災害時の子ども支援：子ども専用避難所の設置、家族向けの防災教育
4. 経済的支援の強化
・子育て支援金の拡充：出産祝い金、児童手当の増額
・住居支援：子育て世帯向けの住宅補助金
5. 働き方改革・ワークライフバランスの促進
・育児休業の促進：男性の育休取得率向上支援、育休取得企業への助成金
・フレックスタイム制度の導入支援：自治体や企業での柔軟な働き方の推進
6. 地域コミュニティの強化
・子育て広場の運営：親子が気軽に集まれる場所の提供
・子育てサークル支援：地域ボランティアの育成、イベント開催の補助
7. 情報提供と相談体制の整備
・子育て情報ポータルサイト：行政サービスや地域の子育て情報の一元化
・ワンストップ相談窓口：子育て全般に関する相談を受け付ける窓口の設置
8. 多様な家庭への配慮
・ひとり親家庭支援：生活支援金や相談体制の強化
・外国人家庭への支援：多言語での子育て情報提供や相談対応
これらの施策を総合的に実施し、継続的に住民の意見を反映させることで、安心で安全な子育てを応援する自治体づくりが実現できるのではないかと考えます。当然のことながらすでに鎌倉市として行っている施策もいくつもありますし、全ての施作を同時に行う必要もありません。
鎌倉ならではの施策、鎌倉らしさを見失わないような施策をみんなで考えていけたら、より良い妊娠・出産・子育ての環境が整うのだと私は思います。
